掲載・更新日:2020.12.17

人手不足により省人化がキーワードとなってから、関心が高まったのが「自動連携」「API連携」です。ロジザードでも自動・API連携に着目し、さまざまなシステムや物流ロボットとの連携を進めています。
そして、数ある受注管理システム、ECサイト一元管理システムとして初めての自動連携が実現したのがHamee様の提供する「ネクストエンジン」です。Hamee様とは2009年からのお付き合いで10年以上経ちます。「ネクストエンジン」は圧倒的シェアを占めており、ロジザードZEROユーザー様からの連携希望が一番多いシステムでした。
今回はユーザー様、社内からも期待が大きかった自動連携開発に携わったシステム部進藤、開発部佐藤、藤田の3名に連携までの経緯やコンセプトを振り返り、リモートで対談してもらいました。

当たり前だった「CSV連携」から「自動・API連携」希望の声

開発に至るまでの経緯を教えてください。

進藤: 元々ユーザーさんからは日々の手動業務を自動化し、省力化したいというご要望が多かったのと、ネクストエンジンに関しては既存の自動連携が他社システムを介す必要があることに違和感があると社内からも声が上がっていたのが開発開始のきっかけです。
また、会社の方針が「省力化」に向いていたことから、親和性が高いことでネクストエンジンとの連携を優先しました。

お客様からはどのような声をいただきましたか?

進藤: CSVでは標準連携ができており、インポートパターンがあったこともあったことから「何で連携してないの?」とユーザーさんからよく聞かれました。
ロジザードZEROはCSV連携をする際のマッピングや変換機能が実装されており、開発が不要で連携できることが一つの強みだと思っています。ただ、CSV連携だけではお客様のご要望をカバーできないんだな、と。我々にとって当たり前だったCSVの手動連携、「ファイルを選んで画面から登録するだけ」という考え方が、ユーザーさんにとってはそれすら重荷になるのだと考えさせられました。

ネクストエンジン自動・API連携でどのようなことが実現するか、簡単に教えてください。

藤田: 商品マスタ・出荷予定・出荷実績・問番(問い合わせ番号)・在庫連携ができます。これにより、ロジザードZEROとネクストエンジン間の在庫差異をほとんど防ぐことができます。

佐藤: 例えば、出荷の際に
1.ネクストエンジンに予定登録
2.ネクストエンジンから予定データをエクスポート
3.ロジザードZEROに予定データをインポート
4.出荷作業
5.ロジザードZEROから実績データをエクスポート
6.NEに実績データをインポート
というステップを踏んでいましたが、2と3、5と6が自動化されることになります。

進藤:メーカー・通販事業者さんはある程度物量が増えてくると物流業務を3PLさんに委託することを検討されます。物流業務をアウトソーシングする際、3PLさんと荷主さん(通販事業者様)の間で何時と何時に出荷業務を開始するから、何時までに受注データをWMSに入れる、といった取り決めを行うと思います。
今までの手動のCSV連携の場合は、その時間になると受注管理システムからデータをエクスポート、WMSにインポートを行い、遅れる場合は電話でやり取りする、といったことが起きていたと思います。今回の自動連携により、予め連携時間をセットすると、指定された時間になるとデータが自動で送信されるので便利ですね。


ユーザー様もロジザードもハッピーな2つのコンセプト

ネクストエンジンとの自動・API連携は社内外からの要望が多かったと思います。どのようなコンセプトで開発しましたか?

佐藤
・導入時になるべく早く、安く提供できるような仕組み
・設定変更しやすいような仕組み
打ち合わせをする中で、この2つのコンセプトは早めに固まりましたね。

進藤: 早く、安くの部分については、ネクストエンジンからロジザードZEROへの連携時にネクストエンジン側の既存アプリのカスタムデータ作成を使った方法を採用しました。これにより開発コストや納期をぐっと抑えることができました。
アプリに依存する建付けにはなりましたが、後続の他システムとの自動連係の基本概念につながったという意味では結果よかったかなと思っています。

藤田: この2つのコンセプトはユーザーさん、ロジザード、どちらにも向いています。なるべく安く、そして早く提供したい、それには実際に設定を担当するシステム部が簡単に設定できるように、後に起こりそうなサポート対応や設定変更についても意識した設計にしよう、と。
ユーザーさんについては、基本ネクストエンジン「だけ」を触っていればOK、例えば、連携時間もユーザーさんが自由に、好きな時に好きな設定に変更できるようにしました。

進藤: 今までの連携だと、システム部や開発部が依頼を受けて都度開発をしたり、設定変更したりしていました。そのため3日前などの事前に依頼をもらって、当日に設定変更、という流れだったのですが、ネクストエンジン自動連携はロジザードの作業が不要で簡単に設定変更できます。

藤田: あとは連携時にエラーが発生したときに自動再送する機能を作ったり、と細部にも気を配りました。

進藤: こういう細かいところ、表からは見えない部分が重要で、開発ならではの視点で考えてくれました!

佐藤: 細かいエラーでも想定して対策しておくことで、ユーザーさんも、ロジザードZEROも結果的に楽に運用ができると思いました。ロジザードに関しては設定が楽なことはもちろんですが、こういったエラーにも対応しておくことで、サポートチームの負荷も減らすことができます。トラブルが起きたときにまず窓口となるのがサポートチームなので。

進藤: 「致命的な不具合が起こるのが自動連携」だと思います。その中でファーストユーザーさんの協力もあり、バグ修正もスムーズに、大きなトラブルなく在庫ずれがなくリリースができました。コンセプトからぶれずに開発できたからだと思います。


開発部主導の新しい取り組みとなったネクストエンジン自動・API連携

開発の進め方を教えてください。

佐藤: 今までの新機能開発では、開発部の業務範囲はシステム部から要望が落とし込んである仕様書を基に作って出すことでした。今回は、新しい取り組みとして、開発部主導で要件定義から始めました。
どういった機能が欲しいかを提示してもらった後は、実現に向けてのアイディア出しを藤田さんと行いました。

藤田: 在庫連携で、連携数量をどう算出するか。これについてはいくつものパターンを検討・検証しました。
お客さんの使い勝手を考えて、どんな質問がくるか、そこでどんなサポートが発生するかを考えながら細かく連携できるようにしよう、でも細かすぎるとパンクする、じゃあ差分だけにしよう、でも全部やりたい!みたいな。(笑)何度も打ち合わせを重ねて、方法論を考えた結果どちらも機能に組み込むことにしました。

佐藤: 出荷実績と実際の数、数字の操作の入り口が2か所あって、どう整合性をとるか、というところを一番考えました。もう、運用で考えられることは全パターン網羅したぐらい考えましたね。
そして仕様に落とすときはなるべくシンプルに。シンプルなつくりは壊れにくく使いやすいですから。今回のコンセプト、お客さんが使いやすいように、そしてロジザードZEROも手を掛けずに連携をと考えて...今回はだいぶ頭ひねったよ~。(笑)

進藤: 在庫連携は受注管理システムとロジザードの仕様、どちらも加味しないといけないので、もめましたね。(笑)数量調整、出庫禁止ロケは、棚卸の実績は...。
パターンを開発部から出してもらって、リカバリの視点で改めて意見を出し合ったりと。ここにさらに、過去の案件からもアイディアを出してブラッシュアップしました。

藤田: 開発部主導ではありましたが、システム部と開発部が協力して、それぞれの意見や経験を出し合って出来上がった機能ですね。

佐藤: 今までのシステム部主導で開発をする際、システム部はお客様の要望を直接聞く機会があるので、仕様書に個々の意見や考えが入ってきます。それ自体は悪いことではないのですが、そこに経験値が絡んでくると思います。そこで開発部からこうした方が良いんじゃない、と意見を出しながら打ち合わせを重ねて開発をしてきました。
システム部はお客様の要望を実現するためにどうするか?を考えることが得意で、開発部はその要望をどう実装するか?を考えることが得意です。このギャップがよくて、今回開発部主導で開発することで、そこが活かせたと思っています。

進藤: 開発部の「どう実装するか」の視点で、見えないところでたくさんの工夫が凝らされています。
システム部だけで設計をかかなかったのは、ロジザードのチャレンジでもありましたが、開発部ならではの視点と過去の案件もありきで、このメンバーははまったと思います!

佐藤: モノの組み立て方・俯瞰して考えることは、開発の人間の身についているので、今後も開発経験は設計に活かしていきたいと思います。最初から最後まで、やりがいのある機能開発でした。

進藤: 最後にこの場を借りまして、ロジザードZERO向けにカスタムデータ作成のテンプレートを作ってくれたHamee様、ありがとうございました!