掲載・更新日:2019.07.31

近年、ECサイトの販売手法として注目が高まる「単品リピート通販」。単品リピート通販で販売される主な商材は化粧品や医薬品、健康食品が中心です。経済産業省による統計データによると、「化粧品、医薬品」の市場規模は2016年では5,268億円、2018年には6,136億円と16.4%拡大。1年平均8%以上成長しており、市場規模は増加傾向にあることがわかります。

引用:平成29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)

引用:平成 30 年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)

ロジザードZEROをご利用中のお客様の中にも、定期販売や単品通販の取り扱いが増えており、これに対応する機能強化の要望にお応えして開発されたのが、単品リピート通販機能です。今回は、開発に携わった弊社の中澤を交えて、本機能誕生のきっかけを作ってくださった株式会社M・Kロジの代表取締役社長・馬場正和様と同社営業CS事業部 部長の田村たみえ様に、本機能誕生の背景と経緯について振り返っていただきました。

アパレル企業を通じての出会い

M・Kロジ様の会社の概要と当社との出会いについて、お聞かせください。

馬場様: 当社は創業2009年の物流サービス企業、いわゆる3PLです。福岡に本社をおき、倉庫は全国に8拠点あります。年間600万件を越える発送数をこなし、国内外に150社以上のお取引様があります。
ロジザードとの出会いは、アパレルショップのお客様からロジザードPlusを倉庫内で導入したい、と紹介されたのがきっかけです。初めてロジザードPlusに触れた時は、倉庫で必要な機能が全部そろっている!と感動しました。まだ会社を立ち上げて間もないころで、SKUが多い商材を扱う荷主様が多かったので、これは便利でいいと思い、導入後はお客様にもバンバン勧めました。

田村様: 当時、在庫管理はExcelでしたから、毎日数字を足したり引いたり全部手作業でやっていました。大変なうえに、どんなに慎重にやってもミスがなくならない。それがロジザードPlus導入で一気に解決しました。使いやすくて、すぐに慣れましたしね。

中澤: 馬場社長とあるお客様のところに伺った時、帰りに馬場社長が駅まで車で送ってくださりながら、「我々はパートナーとしてやっていきましょう!」と力強くおっしゃっていただきました。そんな風に言ってくださるお客様はそれまでいらっしゃらなかったから、とてもうれしくて。今でもその時のことは鮮明に覚えています。

馬場様: 私は、お客様もパートナーだと思っています。「倉庫だろ、なら言うとおりにやれよ」と上段に構えるお客様よりも、共にパートナーとして歩んでいただけるお客様と仕事をしていきたい。お客様の大切な商品、大切な資産を預かって、エンドユーザーに遅滞なく届ける部分を我々が担っているわけで、そこはパートナーとして対等だと思っています。ロジザードも同じ考え方で、我々が正しく出荷するための仕組みの部分を担うパートナーです。お互い、困っていたら力になるよ、という信頼関係がベースにあると思っています。

中澤: 本当にありがたいです!


伸び盛りの単品リピート通販企業が多い福岡県

福岡県の企業には、単品リピート通販のお客様が多い印象があります。M・Kロジ様のお客様にも多いですか? また単品リピート通販の荷主様と他の荷主様との違いはあるのでしょうか?

馬場様: 単品リピート通販のお客様は、ここ5年くらいの間に急増しましたね。弊社の福岡県内のお客様の伸びも顕著ですし、県内の同業者からも、単品リピート通販をやっているお客様は軒並み伸びているという話をよく聞きます。


本社を動かしたのは福岡企業の熱意ある説得

ロジザードZEROの単品リピート通販機能誕生には、田村様からのご要望とご協力が欠かせなかったと聞きました。定期通販のお客様の増加がきっかけだと思いますが、どのような課題が生まれたのでしょうか?

田村様: まず回数別の出力が問題になりました。お客様の考える形で出したいのですがそれができない。それから同梱物の管理ですね。ロジザードは本当に使いやすいので、定期通販用の機能を追加してほしいと真剣にお願いしました。

中澤: 同梱物が定期通販の一番の特色ですね。同梱物の管理機能がない時には、ロジザードZEROの機能を工夫して使ったり、現場の運用でカバーしていただいたりしていました。

田村様: 同梱物の在庫の減算ができなかったので、定期通販系のお客様だけはその機能を持つWMSを使わざるを得ませんでした。その他の機能では優れていて使い慣れているツールだけに、ロジザードで定期通販の対応ができないのが本当に悔しくて、「時代についていきましょう!」と、ロジザードの中澤さんに直訴しました。

中澤: 叱咤激励されましたね!(笑)ところが、当時はちょうど本社の開発リソースが確保できずになかなか前進しなくて・・・。M・Kロジ様はもちろん、全般的に定期通販のお客様の増加を感じていましたから、いよいよロジザードに機能を搭載しないとまずい状況が見えていました。
そこで、田村様から伺った欲しい機能を集約して私がプロトタイプを作り、実際に活用できるレベルかを田村様に見ていただきました。そして、田村さんには東京の本社に来ていただき、ロジザードに向けて機能追加の必要性を語っていただきました。M・Kロジ様の熱意がロジザード社内を動かして、無事単品リピート通販機能が追加されたという経緯があります。


ユーザーが普段使いの延長で新機能を使えるように

機能を作る過程で苦労したことなどはありましたか?

中澤: やりたいことや欲しい機能を伺い、ラフスケッチでイメージを共有して抜け漏れがないかを確認しながら機能を作成しました。途中途中で田村様に見てもらって、ご意見をいただきながらプロトタイプを作っていきました。定期通販梱包の現場を一番よく知る田村様からのアドバイスのお陰で、とても使い勝手がよいものになったと思います。

田村様: 普段からの関係性やサポート力、製品の使いやすさから、どうしてもロジザードZEROで定期通販にも対応したかったのです。特にロジザードZEROは画面のわかりやすさ、シンプルな操作性が魅力です。そこに定期通販機能を「使いやすく」追加してほしいと思いました。お客様によってWMSのシステムが違うと現場が混乱しますし、ミスの元です。今は進化が早くて、システムもどんどん機能が追加、更新されますから、複数のシステムを運用していると現場はついていくのが大変です。スタッフが熟知しているロジザードZEROなら、トラブルも回避できますし、システムのバージョンアップにも順応しやすいです。

中澤: 追加すべき機能は明確にわかっていました。定期の回数と商品コードの設定は、それによって同梱物が変わりますから、特に重要です。同じ商品なのにサイト上の商品番号(単品)と定期型の商品番号が異なるなど、お客様によって独自のルールがあります。これに対応するために、複数の組み合わせパターンを作りました。あとは納品書のデザインも変えましたね。

機能が追加され、使い勝手はいかがでしたか? また現場での変化などはありましたか?

田村様: 操作性がとてもよいと感じました。普段使っている画面をベースに、たぶんここにこういう機能があるだろう、と想像するところに必要な機能が追加されている感じ。直感的に使うことができて、自然になじめました。もともと使い慣れているので、新規のお客様が導入する際の設定やスタートも、問題なく操作できます。我ながら機能を使い倒している実感があります!

中澤: 田村さんは、ロジザードのSE以上にロジザードZEROを使いこなしていると思います(笑)。だから、ただ機能を追加するだけではダメで、いかに使いやすくするかにもこだわりました。実は、シンプルに使いやすくすることこそ難しく、利便性を追求して機能を追加していくと、操作性が著しく低下します。ロジザードのユーザーにも、新しい機能を一から覚えてもらうのは違うと思って、普段使っている機能の延長戦上に新しい機能が自然に追加されている状態にしたいと思いました。しかしそうすると、関連機能の動作を含め、ロジザードZERO全体の機能の見直しが必要になります。開発としては、その見極めや調整が難しい部分でした。

田村様: とにかく、機能が追加されて本当にホッとしました。お客様にロジザードを案内しやすくなりましたから。ぎりぎり間に合ったな、という気がします。あと1年、いや半年、機能追加が遅れていたら、お客様に対して別のWMSを選択せざるを得ない事態になっていたかもしれません。


リクエストに応えて、ますます進化するロジザードZERO

今後、ロジザードZEROに追加したい機能、強化したい機能があればお聞かせください。

田村様: すでに、応えていただいています。一番は定期通販の同梱物でしたがそれが解決しました。二番目はお客様からの要望が多い決済サービスとの連携です。例えばNP後払いやクロネコ代金後払いとの連携ですが、これも対応していただきました。

中澤: 最優先で作らなければいけない機能追加はほぼ落ち着き、次のステップに向けて準備中です。定期通販系に特化したWMSと比較すると、機能は引き続き開発が必要です。社内の開発チームがとても忙しく、相変わらずリソースを確保するのが困難な状況ですが、優先度上げて取り組めるよう、社内に働きかけているところです。

馬場様: 倉庫内で動いてない商品のアラート機能もあるといいですね。半年動かなければアラートが出るとか。この機能があれば、お客様が早めに何らかの対策がとれて、商品をデッドストックにせずに済みます。

中澤: 滞留在庫のアラートですね。

馬場様: お客様は原則として、倉庫に入れたものはすべて売り切りたい。でも、販売や欠品情報は気にされていても、売れていない商品、倉庫に長い時間残っている商品情報は、わかっていない場合が多いものです。アラートされれば、SALE品にしたりセット売りにしたり、何らかの対策で売り切ることもできるでしょう。

中澤: 弊社はどうしても倉庫目線で機能を追求する傾向にあります。馬場社長がおっしゃるように、確かに荷主目線の機能を考えると、まだまだ便利に使っていただけそうな機能を開発できそうです。

馬場様: お互いの専門領域で気がついたことをキャッチボールしていく。これもパートナーシップの信頼関係があるからこそできることです。これからも荷主様の要望を積極的にキャッチしていきますよ。そうすればお客様にもますます喜んでいただける。そんな倉庫って、あまりないじゃないですか。
忘れもしませんが、あるECモールのセールが大当たりして、翌日の出荷数が通常なら対応できない量になったことがありました。でも、お客様から「何とか出荷対応してほしい」と頼まれて、どうすれば出荷が間に合うか悩んで中澤さんに相談しました。で、結論をいえば中澤さんのアドバイスで、ロジザードを使って不可能と思われた量を出荷できたのです。あの時のことは、荷主様から今でも感謝されます。その後も契約が継続し、「馬場のところは信頼できる」と別のお客様をご紹介いただくこともしばしばで、中澤さんには本当に感謝しています。荷主様もロジザードも信頼しあえるパートナーです。お互いが成長できるよう、情報を共有し高めあえる関係性を大事にしたいですね。

田村様: 荷主様目線での課題の見える化は、確かに大事なことだと思います。

中澤: お客様が提案してくださることで成長するシステム開発を、これからも目指します。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

お客様からの熱意が機能開発につながり、その機能がまた多くのお客様のお役に立つという好循環を、当社も続けていきたいです。今日は貴重なお話をありがとうございました。

株式会社M・Kロジ

2009年創業の、福岡に本社をおく物流アウトソーシング(3PL)企業。
年間600万件を越える発送数、国内外150社以上顧客があり、その経験とノウハウで多くの企業の物流業務の効率化とサービス向上に寄与し、業績を伸ばしている。
http://www.mklogi.com/